ISOコラム

2015年7月10日

Vol.2:「ISO9001とは」

  「ISO 9001」とは何でしょうか。
答えは「ISOが発行する品質マネジメントシステムの規格」です。
といいましても、非常に判りにくいかと思います。

  具体的な実務に照らし合わせると、普段、どういう風に「ISO 9001」という言葉とふれあうのかと申しますと、例えば「ISO 9001を認証取得した」という表現を耳にされたり、事務員さんだと「ISO 9001が欲しいから購入しておいて」と頼まれることもあるかもしれません。こうなると「認証取得するものなのに購入が出来るの?」なんてことになります。

  「ISO 9001」の見た目は「出版物」の形をしています。でも内容は「規格」です。

  どういうことかといいますと、「ISO 9001」の見た目は「本」のように見えますが、一般に流通している「書籍」とは異なっているのです。なぜなら、ISBNコード(国際標準図書番号)や書籍JANコードがありません。内容が「規格」ですので一般の「書籍」とは異なるのです。読書が趣味の方ならば「ISBNコードが不明ならどうやって購入するの?」と思われるかもしれません。答えは「専門店さん取り扱い」です。こちらは後述でご紹介致します。

  また「規格」というものを、前回のコラム(2015年6月25日更新)でご説明した内容とは別視点で、本日はさらに詳しく(ちょっと専門的に)ご説明致します。 日本国の場合、法律により工業関連の規格(JIS)は経済産業省の「日本工業標準調査会(JISC)」の管轄で作成されます。ちなみに農林規格のJASは(農業・水産・加工食品の規格)、は農林水産省の管轄です。日本国では「一般財団法人 日本規格協会」が規格の出版・販売権を独占しています。こちらの組織が前述の「専門店さん」にあたります。(マメ知識参照)

  そしてせっかくですので、「ISO 9001」の「規格」について、どんなことが書かれているのか、その内容について少々ご説明したいと思います。

  「ISO 9001」は英語で書かれています。他にもフランス語版などがあります。これを弊社(ISO審査機関)では「原文」と呼んでいます。「原文」のままだと、外国語なのでとても読みにくいです。外国語が堪能な方はスラスラと読めるかもしれませんが、通常はそんなことはないと思いますので、当然、公式の日本語訳があります。この公式の日本語訳の名称が「JIS Q 9001」です。原文の名称は「ISO 9001」ですから、違いは「ISO」と「JIS Q」ですね。

  「ISO」と「JIS」は前回のコラム(2015年6月25日更新)でご説明しましたので割愛します。ここでは「JIS Q」について補足します。
  「JIS Q」の「Q」は「部門」を示しています。判りやすくいいますと「カテゴリ」です。「JIS規格」はとてもたくさん種類があるので、ある程度、カテゴリで分類されているのですね。このカテゴリを「部門」と呼びます。つまり、「JIS Q」=「JIS規格のQ部門の規格」となります。
  前述しました通り、「JIS」とは工業関連の規格となっていますが、「JIS Q」で始まる名称の規格のカテゴリ内容は、工業製品の規格(仕様)ではなく「マネジメントシステム」すなわち「管理システム」です。ちなみに「JIS A」で始まる名称の規格だと内容が「土木及び建築」、「JIS B」は「一般機械」、「JIS C」は「電子機器及び電気機械」で、「JIS Z」は「その他」といったカテゴリの具合です。

  では「管理システム」は何かと申しますと、おおまかには「会社の仕組み」ととらえることができます。「会社の仕組み」は会社や事業所・お店などで利用されることが多いと思います。たとえば、「新人さんが入社したときや人事異動があったときにその当人へ説明すること」、「通常の業務でどこからどこへ書類や製品が流れていくのか」、「会社の中で手順が変更になったときの対応」など、社内ルールがあり、それらを総称して「会社の仕組み」とよべるのではないでしょうか。

  「ISO 9001」は、特に品質面での「会社の仕組み」作りに利用されています。また、「ISO 9001」には「品質面で必要な会社内で行うべきこと」が「135項目」にわたって書かれています。

  さらに判りやすくするため、「品質」=「クオリティ」とします。
  どういうことなのかと申しますと、「ISO 9001」=「クオリティ面で問題のない製品やサービスをお客様に提供するために、会社の仕組みをどのように整えれば良いのかが135項目にわたって書かれている、規格」ということなのです。

  そして上記の下線部が冒頭の「品質マネジメントシステムの規格」の意味するところとなります。

  また、「ISO 9001」には人数制限等がございません。どんな会社・事業所・お店でも利用することが可能です。たとえば、お2人だけの会社でもISO9001は取り組むこと(または認証取得)が可能です。詳しくは弊社(ISO審査機関)までお問合せ下さい。

マメ知識
  「ISO 9001」や「JIS Q 9001」は通常の書店さんではまず取り扱いがありません。上述の通り、日本では発売元である「一般財団法人 日本規格協会」より直接購入する方法のみとなります。なお、本コラムでは判りやすさを追求するために略称表記させていただきましたが、正式名称は「ISO 9001:2008」(2015/7/10現在)および「JIS Q 9001:2008」(2015/7/10現在)ですのでご留意ください。「内容を参照したい」だけの場合には「日本工業標準調査会」にて参照することが可能ですが、著作権のかねあいで印刷・保存等はできません。

以上
国際システム審査株式会社 マーケティング室 発行
文責 由利有美

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